コラム
こどもの病気
こどもの耳鼻科疾患
こどもの耳鼻科の病気で最も一般的なものは中耳炎でしょう。

乳幼児はかぜをひいたり、鼻が出ているとすぐに急性中耳炎を起こします。なぜ起こしやすいかについては「耳の病気」のなかの「急性中耳炎」の項をご覧下さい。
急性中耳炎はしっかり直しておかないと慢性中耳炎になったり、滲出性中耳炎から癒着性中耳炎、真珠腫になったりして難聴が残る危険がありますので注意が必要です。

乳幼児の急性中耳炎に対する治療は以下のように行います。
1)急性中耳炎を起こしやすい細菌にどのような菌が多いかを知り、どのような抗生剤が有効かを知ることが重要です。
2)膿がたまって鼓膜が腫れ、痛みや発熱がある場合には鼓膜の切開を考えます。
鼓膜切開をすると中耳炎が癖になるとお考えの方がありますが、そのようなことはまずありません。
むしろ膿が外に出ないでたくさんたまっている状態の方がよくありません。ひどくなると合併症起こす危険もあります。
もちろんすべての急性中耳炎で鼓膜切開が必要というわけではなく、鼓膜の状態と全身状態を含めて必要かどうかを判断します。
3)急性中耳炎に引き続いて滲出性中耳炎を起こす場合があります。滲出性中耳炎は痛みや発熱はありませんので、通常乳幼児では症状の訴えがありませんが、聞こえは悪いはずです(片方のみで反対側が正常であれば周囲の人も気がつかない場合が多いです)。そのまま放置すると難聴が残ってしまうことがありますので、治療期間がたとえ長くなっても最後までしっかり治療することが重要です。
4)3歳未満(特に1歳前後から2歳)の乳幼児の場合は急性中耳炎が長引いたり、何回も繰り返して中耳炎を起こす場合があります。
これは自分の免疫力が充分でないことなどの問題もありますが、耐性菌(抗生剤の効きにくい細菌)が関与している場合もあります。
このような観点から、できるだけ耳だれや鼓膜切開した際の膿の細菌検査を行います。
場合によっては、小さなチューブを鼓膜に入れる場合もあります。

次に鼻の病気です。
鼻の病気は主に鼻・副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎です。
鼻の病気は鼻の問題だけでなく中耳炎など耳にも影響がありますので、やはりしっかり治療する必要があります。
鼻・副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎はそれぞれ単独して存在する場合もありますが、合併していることも珍しくありません。特に近年はアレルギー性鼻炎の低年齢化が顕著になっており、アレルギー性鼻炎を伴った鼻・副鼻腔炎の頻度が増加しています。

これらの治療は基本的には鼻の局所治療と薬です。
副鼻腔炎で膿性の鼻汁が多い時期には抗生剤も必要です。
抗生剤は中耳炎と同様に頻度の高い細菌を考えて選択します。その他にはアレルギーを抑える薬を併用する場合がありますし、漢方薬も適宜使用しています。またマクロライド系と呼ばれる抗生剤(具体的にはクラリスなど)を通常量の約半量でやや長期間投与する治療方法も副鼻腔炎の治療には効果があるとされています。

小さな子供さんの鼻の診療で問題なのは、通常鼻を診察したり、処置したりするのを非常にいやがることです(暴れる子供さんも珍しくありません)。
我々耳鼻科の専門医でもなかなか難渋することもあります。
しかしこれが鼻疾患の治療で最も大切なことです。
鼻汁の中には炎症を引き起こしたり、長引かせたりする物質が含まれているのです。
したがって鼻汁を充分に吸引して鼻のなかをきれいにすることが非常に重要なのです。特に自分で上手に鼻がかめない小さな子供さんほど必要と言えます。子供さんにはできるだけ早く治療に慣れてもらって、鼻の奥の方まで充分に治療できるようにすることが大事です。
また小児は副鼻腔の発育が充分でないため鼻・副鼻腔炎が遷延したり、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい傾向にあります。
このように鼻の治療には時間がかかる場合が多いと思いますが、あきらめないで根気強く治療を受けて下さい。