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唾液腺の炎症・腫瘍
唾液腺の病気

 唾液腺には大唾液腺として耳の下にある耳下腺、下顎の下にある顎下腺、舌下腺があります。また口唇や口の中の粘膜には小唾液腺という小さな唾液腺が多く存在しています。ここでは大唾液腺について解説します。
 唾液腺が腫れる病気として炎症によるものと腫瘍によるものが代表的です。

I 炎症性疾患

 特に耳下腺では流行性耳下腺炎(いわゆる“おたふくかぜ”)がよく知られています。これは流行性耳下腺炎のウイルス(ムンプスウイルス)が感染して起こるものです。発熱と耳下腺の痛みを伴う腫脹が特徴で、左右両側の耳下腺が腫れることがしばしばあります。ムンプスウイルスに対する薬はありませんので、鎮痛剤や解熱剤などで対症的に治療し、自己の免疫で治癒するのを待つことになります。通常1週間程度で軽快しますが、中には髄膜炎や難聴、副睾丸炎などの合併症を起こすことが知られています。
 耳下腺を含め唾液腺が腫れる炎症性疾患は流行性耳下腺炎だけではありません。唾液腺からは唾液が口の中に出てきます。したがって、口の中の唾液の出口から細菌などが侵入して感染し、炎症を起こすことが考えられます。細菌が原因と考えられる場合には抗菌剤の投与を行います。

Ⅱ 腫瘍性疾患

 耳の下が腫れている時には耳下腺腫瘍、顎の下が腫れている時には顎下腺腫瘍を考えます。それぞれに良性腫瘍と悪性腫瘍があります。
 どちらも触診では硬いしこりとして触知されます。良性腫瘍の場合は腫れ以外の症状はほとんどありません。
 一方、悪性腫瘍では顔面神経麻痺が生じることがあります。これは耳下腺内を顔面神経が通っていること、また顎下腺の近くには顔面神経の一部が通っていることから、癌が神経に浸潤したりすることで麻痺を起こし、顔の動きが悪くなったりします。具体的には目が閉じない、口がゆがむ、お茶などがこぼれやすい、等の症状になります。また、リンパ節転移を起こすと頸部リンパ節が腫れてきます。
 診断にはCTやMRIなどの画像診断以外に、良性か悪性かの鑑別には腫瘍部分の細胞を注射器で採って調べる穿刺吸引細胞診が有効です。
 治療は良性の場合でも基本的には手術による腫瘍の摘出です。一方、悪性の場合は唾液腺にできた元々の腫瘍はもちろん、リンパ節やその他の臓器への転移を考慮した上で、腫瘍の広がりに応じた手術、さらには抗がん剤、放射線などを総合的に組み合わせた集学的治療が行われます。

Ⅲ 炎症、腫瘍以外の唾液腺疾患

1唾石症
 唾石症とは、唾液に含まれるカルシウム塩が固まってできた唾石(結石)が唾液管を狭窄あるいは閉塞することで、唾液腺が腫れる病気です。顎下腺管は他の唾液管に比べて長く、唾液が粘稠である、等の理由で顎下腺では唾石ができやすいと言われています。
 唾石症では唾液腺が痛みを伴って腫れますが、特に食事の際にこのような症状が目立ち、食後しばらくすると痛みや腫脹が少し軽くなることがよくあります。これは食事で唾液が作られても、口の中へ出ない(あるいは出にくい)ために唾液腺内の溜まって腫れてくるためです。
 唾石が口の中の唾液の出口に近く、口腔内の触診で唾石を触知できる場合は、口の中を少し切開して唾石を取り出すことが可能なことがあります。しかし、深部(唾液腺の近く)に唾石がある場合は、唾液腺とともに摘出することが必要です。

2シェーグレン症候群
 この病気は自己免疫疾患で、唾液の分泌が減少して、口が乾く、食事の際にお茶など水分がないと非常に食事がし難いなどの症状とともに、唾液腺が腫れる場合があります。通常痛みは伴いません。シェーグレン症候群では唾液腺以外に涙腺にも病変があり、涙の分泌が減少して、目の乾燥という症状が出ることもあります。