喉頭癌|”患者様が納得できる”診療を心を込めて。検査やお薬は必要最低限を心がけています。

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喉頭癌
■喉頭(こうとう)の場所と働き

 ヒトのノドは、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)からできています。このうち喉頭は、いわゆる「のどぼとけ」と言われる部分の中にある甲状軟骨(こうじょうなんこつ)と言う軟骨に囲まれた箱のような部分です。喉頭は舌の付け根(舌根:ぜっこん)から気管につながっており、さらに肺へと続きます。喉頭の後方は下咽頭と呼ばれる部位があり、こちらは食道へ続いています。
 喉頭には、主に以下の3つの大切な働きがあります。
1発声:声帯を振動させて声を出します。
2誤嚥防止:食べ物をのみ込むときは、喉頭蓋(こうとうがい)というフタが喉頭を閉じ、間違って食べ物が気管に入らないようにしています。
3気道の確保:喉頭には空気の通り道(気道)としての働きもあります。

■喉頭癌の頻度と危険因子

 喉頭癌の発生数は癌全体の0.6%ほどであり、人口10万人あたり約3人程度と言われています。喉頭癌の発生は女性より男性が10倍ほど多く、60歳以上に発病のピークがあります。
 危険因子としてはタバコとお酒です。喫煙によってリスクが確実に高くなることがわかっており、患者さんの90%以上が喫煙者です。喫煙しないヒトに対して喉頭癌のリスクは約5倍高くなるというデータがあります。また、飲酒も危険因子の一つと言われています。
 喫煙と発癌の関係にはブリンクマン指数が用いられます。これは1日の喫煙本数×喫煙年数で表されます。つまり、30年の間1日20本喫煙している場合のブリンクマン指数は600となります。軽度の喫煙量はブリンクマン指数200以下、中等度は200から600、重度は600以上、の3群に分類されます。実際に喉頭癌が発見された症例のブリンクマン指数800から1200と大量の喫煙量となる場合が多いようです。

■喉頭癌の種類と症状

 喉頭癌は病理組織学的にはほとんど扁平上皮癌と言われるタイプの癌です。耳鼻科関係の舌癌や咽頭癌もほぼ同じ型の癌です。喉頭を覆う粘膜は扁平上皮と呼ばれるものです。あるいは一部には線毛上皮という上皮が存在しますが、種々の刺激で扁平上皮に変わっていきます。この扁平上皮から発生するので扁平上皮癌というタイプの癌になります。
 喉頭のうち声帯がある部位を声門と言います。それより上を声門上(せいもんじょう)、下を声門下(せいもんか)と呼びます。それぞれの部位に発生した癌を「声門癌」、「声門上癌」、「声門下癌」と呼びます。それぞれの頻度や症状は次の通りです。

■声門癌
喉頭癌の中で最も多く60~65%を占めます。早期から嗄声(させい:かすれ声)が見られます。低いがらがら声、雑音の入ったざらざらした印象の声が多いです。進行すると嗄声はひどくなり、声門が狭くなって息苦しいなどの症状がみられるようになります。
■声門上癌
喉頭癌の30~35%程度と言われます。いがらっぽさ、異物感、等のノドの違和感や、食べ物をのみ込んだときの痛みなどがみられます。頸部リンパ節に癌が転移し、首のしこりがきっかけで発見されることも少なくありません。癌が声帯に広がると嗄声も生じます。さらに進行すると呼吸困難などの症状が起こります。
■声門下癌
極めてまれですが、かなり進行するまで特有の症状がない場合が多くみられます。

■診断について

 最も大切なのは喉頭を詳細に観察することです。喉頭は口を開いただけでは見えませんので、間接喉頭鏡という鏡をノドに入れて喉頭を観察します。また、最近は細いファイバースコープを鼻から挿入して、より詳細に喉頭を診察することも多くなっています。
 耳鼻科専門医であれば、このような視診で喉頭癌の有無を判断可能な場合が多いと思われます。特に声門癌の場合は症状が初期から出ますので、小さな癌が見つかることもあります。
 しかし、診断を確実なものにするためには細胞(組織)を少量採取して組織診断をすることが必要です。
 さらにCTやMRI、超音波(エコー)など施行し、最終的に腫瘍の進行度と頸部リンパ節転移の有無、喉頭から離れた組織への転移の有無を評価して、治療方法を決めます。

■治療について

 喉頭癌の治療は放射線、手術が中心となります。
<手術>大きく分けて経口的な腫瘍切除術と、頸部を切開して行う喉頭部分切除術、喉頭全摘術があります。
 喉頭全摘術は癌の広がりなどから部分切除術では取りきれないような癌に適応になります。この手術では声帯が完全に失われますので、自分の声で発声することはできなくなります。術後は食道発声や電気喉頭、気管食道瘻発声を習得して、発声することになります。
 また、呼吸の通路と食事の通路を分離する必要がありますので、手術後は頸部に開けた穴(気管切開孔)から呼吸することになり、食事は普通通り口から食べられます。
 しかし、近年は可能な限り組織を温存して声が残るような治療が選択される傾向にあります。そのために手術や放射線治療に加えて抗癌剤治療も併用する場合もあります。
<放射線治療>早期癌の治療が中心となります。喉頭はそのままの形で残りますので、最も自然な声が残ります。放射線治療は通常1週間に5日間、合計約30回程度行われます。

 早期に発見できれば声を失わずに治療ができる場合が多くなります。嗄声やノドの違和感など気になる症状があれば、耳鼻科で検査を受けてください。